岡崎・豊田・三河/弁護士による離婚問題支援

離婚にともなうお金の問題  ~養育費~ 

 養育費とは、 子供の養育に必要な食費、被服費、住居費、教育費、医療費、などの費用のことです。 

 養育費を負担する期間としては、子が、成人する18歳や20歳、大学卒業までの22歳など家庭の状況により決定します。 

 では、養育費はいくら請求することができるのでしょうか。
 
 まずは、夫婦間で話し合って、合意ができればその合意によります。

 問題は、2人での話し合いでの合意が難しい場合です。

 この場合、第三者を交えて「客観的な基準」に基づいた解決をすることが必要になります。 
 養育費の算定基準については、いろいろな考え方がありますが、最近では、裁判官の研究会が発表した「養育費、婚姻費用の算定に関する実証的研究」が一応の基準(※2)となっています。

※1 上記算定表へのリンクは、下記の「より詳しい説明」>「養育費の算定基準」をご参照ください。

※2 もっとも、この算定基準は同じような状況において計算の手間を省くために考案されたものに過ぎません。そのため、算定表がどのような経緯や根拠に基づいて作成されているのかをきちんと理解していないと、却って算定表の趣旨に反するような取り扱いをされてしまうことがありますので、注意が必要です。

 例えば、職業において特別な経費が掛かっているような場合や算定表に記載されていないような家族構成の場合などは、算定表に頼らず正しい計算方法によって妥当な金額を求めることが不可欠です。

 これによれば、父母の基礎年収、子供の年齢、人数などで養育費の目安が算出できます。



「養育費の具体的な決め方」
 養育費はどのように決めたらよいのでしょうか。

1.先ほども申し上げましたが、まずは、夫婦で話し合って決めます。
  その際に、先に紹介した「算定基準」を参考にします。 
2.養育費の取り決めは、書面にすることをおすすめします。
  養育費の取り決めについての書面の作成を弁護士や行政書士に依頼することもできます。

  養育費は、子供が成人するまで(あるいは大学を卒業するまで)の長期間にわたる約束なので、より確実に支払ってもらうには、公正証書にしておくことが有効です。

3.夫婦で話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。

 離婚することについては合意ができている場合でも、養育費についてだけ調停を申し立てることも可能です。
弁護士は調停の代理人をお引き受けすることもできます。


「すでに離婚をしてしまったのですが、後から養育費を請求することはできますか。」

 はい、可能です。

1.養育費は、親の子供に対する義務なので、親権の有無や同居の有無とは関係ありません。
 したがって、離婚後においても、子供は親に養育費を請求することができます。
2.養育費を請求する場合、まずは話し合いをしてみるべきですが、話し合いがまとまらない時は、家庭裁判所に養育費の支払いを求める調停を申し立てることができます。
3.養育費は、過去の分も請求することは可能ですが、どの範囲で求めることができるかについては、裁判所の判断が分かれています。

 具体的な問題については、ぜひご相談ください。



「一度決めた養育費の額を増額(または減額)することはできますか。」
 
 離婚の際に養育費の金額を決めた場合であっても、取り決めの当時に予想できなかった事情がある場合には、相手方に対して養育費の増額(または減額)の請求をすることができる場合があります。

 例えば、
子や親が病気になってしまった。
あるいは大けがをして長期の入院が必要になった。
物価が大きく変動した。
会社が倒産してしまった。
会社をリストラされてしまった。    など

 但し、どのような場合であれば増額が認められる(あるいは減額が認められる)という決まりはないので、具体的な事情については専門家にご相談ください。


「養育費が支払ってもらえなくなってしまいました。どうすればよいですか。」

 離婚の際に養育の額をきちんと決め、はじめのうちは払ってもらえていたのですが、しばらくして払ってもらえなくなってしまったというご相談がしばしばあります。
 養育費の支払いは、子供に対する親としての義務ですから、親の一方的な都合で支払いを止めることは許されません。
 きちんとした取り決めができていれば(※)、支払う側の親の給与などの財産を差し押さえることができます。
 
※そのため、書面できちんと取り決めをしていることが重要なのです。
 また、養育費の取り決めの書面が公正証書強制執行認諾文言付)にしてあれば、差押えをするまでの手続が簡略化できるというメリットがあります。



「養育費を一括で払って貰うことは可能ですか。」
 養育費の支払いは、夫婦の合意により決めることなので、支払い方法も合意ができればどのように決めることもできます。
 一般的な方法は、月々支払ってもらう方法ですが、数ヶ月分をまとめて支払ってもらうことも可能ですし、一括で支払ってもらうことも可能です。
 支払ってもらう側からすれば、いつか支払がとまってしまうのではないかという不安から解放されるので、大変安心です。 ただ、支払う側からすれば、一度に多額のお金を準備しなければならないので大変なことです。

 一般的には、一括で支払ってもらう場合には、将来分の利息を差し引くなど、養育費の総額から減額する形で合意されています。
 いくら減額するかは、双方の話し合いで決めていくことになります。


「再婚したら養育費はどうなりますか?」
(養育費をもらっている側の母(父)が再婚した場合)

 養育費は、子供の親に対する権利なので、自分を監護している親が再婚したからといって、当然には権利が無くなるわけではありません。
 ただ、再婚相手が裕福である場合など、義務者の側から事情が変更したことを理由に減額を求められることはあります。
 この場合は、話し合いをして、話し合いで決まらなければ家庭裁判所の調停で解決することになります。

 なお、離婚の際に、再婚をした場合には養育費の支払いを終了する旨を定める方もあります。

(養育費を支払っている側の父(または母)が再婚した場合)

 養育費は、親の子供に対する責任であり、自分が再婚したからといって、前の配偶者との間の子供が自分の子供でなくなってしまうわけではありませんので、一方的に養育費の支払いをやめてしまうことは許されません。

 但し、相手方の再婚相手が経済的に裕福な場合で、むしろ新しい親からの扶養を受けた方が、子供の成長にとって望ましいような事情がある場合には、事情が変更したことを理由に、減額や停止について話し合いを求めることは可能です。

より詳しい説明